.png)
ML Tyres.ini解説
元プログラマーが解説する
Tyres.iniの解説動画をまずはご覧ください。
~THERMAL~設定解説ガイド
タイヤの温度とグリップの関係、熱の伝導特性、摩擦による熱の発生
[THERMAL_FRONT]セクションにあるパラメーターは、タイヤの温度特性に関連しており、主にタイヤの表面、内部、コア(中心部)間の熱伝達を表しています。
タイヤが温まるかor冷めるかの温度変更によっての挙動がシミュレーションされます。
●PERFORMANCE_CURVE=tcurve_potenza_re71_ml.lut
ここで、ルックアップテーブル(lut)データを、タイヤの温度と性能の関係を示す温度性能曲線を読み込ませています。
熱の伝導特性に関するパラメーター①
~タイヤ表面からの熱移動、タイヤ内部の熱伝導、コアから内部への熱伝導の調整~
ここで紹介するパラメーターは、タイヤの温度管理を精密に設定するために使われます。これにより、タイヤの性能をよりリアルにシミュレートすることができ、走行中の挙動をより正確に再現することが可能になります。
●SURFACE_TRANSFER=
タイヤの表面温度がタイヤの内部層にどの程度影響を与えるかを決定します。
このパラメーターは、タイヤの表面から内部にかけての熱伝導率を設定します。数値が大きいほど、表面の温度が内部に速く伝わり、タイヤ全体の温度が均一に保たれます。逆に、数値が小さいと、表面と内部の温度差が大きくなり、タイヤが温まりにくくなります。
[参考設定値]
一般車:0.0100 ~ 0.0200
サーキット走行:0.0150 ~ 0.0250
ML86号:0.0250(比較的高め、タイヤの感触が非常にダイナミックに)
●PATCH_TRANSFER=
タイヤの接地面(パッチ)から内部層への熱伝導を設定します。
このパラメーターは、タイヤの接地面から内部にどれくらい熱が伝わるかを指定します。接地面が高温になると、タイヤ全体の性能に影響を及ぼすため、接地面から内部層への熱の伝わり方を調整することで、タイヤの温度管理を行います。
[参考設定値]
一般車:0.00050 ~ 0.00100
サーキット走行:0.00020 ~ 0.00050
ML86号:0.00035(路面とのレスポンス重視)
●CORE_TRANSFER=
タイヤの内部コア部分(タイヤの内部構造)への熱伝導率を決定します。
このパラメーターは、タイヤの内部コア部分にどれくらい熱が伝わるかを設定します。タイヤの中心部が温まることで、タイヤ全体の挙動が変化するため、コア部分の熱伝導率を調整することで、タイヤの性能や寿命に影響を与えることができます。
[参考設定値]
一般車:0.00050 ~ 0.00150
サーキット走行:0.00010 ~ 0.00050
ML86号:0.00025(峠などの路面の凹凸に対してダイレクトなフィーリング)
●INTERNAL_CORE_TRANSFER=
役割: タイヤ内部のコアから内部層への熱伝導を設定します。
このパラメーターは、タイヤの内部コア部分がどの程度変形するか、特にタイヤの中心にある内部構造が外部からの荷重にどれだけ影響を受けて変形するかを制御します。
[参考設定値]
一般車:0.0050 ~ 0.0100
サーキット走行:0.0025 ~ 0.0050
ML86号:0.0080(しなやか、路面の凹凸をしっかり吸収)
熱の伝達特性に関するパラメーター②
~タイヤの熱の発生に関連する摩擦による熱と転がりによる熱の伝達~
ここで説明するパラメーターは、タイヤの挙動や性能に大きな影響を与えます。
FRICTION_Kはタイヤのグリップ力を調整し、ROLLING_Kは転がり抵抗を調整することで、車両の走行性能をリアルにシミュレートするために使われます。
●FRICTION_K=
役割: タイヤの摩擦特性を調整するパラメーターです。
タイヤの摩擦係数の変化を制御します。この値は、タイヤと路面の間の摩擦特性を反映しており、タイヤのグリップ力に大きく影響します。値が高いほど、タイヤが路面と強くグリップし、低い値では滑りやすくなります。
[参考設定値]
一般車:0.040 ~ 0.055
サーキット走行:0.055 ~ 0.070
ML86号:0.055(コーナリング性能や加速時のトラクション重視)
●ROLLING_K=
役割: タイヤの転がり抵抗を設定するパラメーターです。
このパラメータは、タイヤの転がり抵抗を表しています。転がり抵抗は、タイヤが路面を転がる際に発生する抵抗力で、燃費や加速性能に影響を与えます。一般的に、この値が低いほど転がり抵抗が少なくなり、燃費や最高速度が向上しますが、逆にタイヤのグリップ力や制動力が若干低下する場合があります。
[参考設定値]
一般車:0.10 ~ 0.15
サーキット走行:0.05 ~ 0.10
ML86号:0.15(グリップ力をしっかり感じられる設定)
表面劣化特性に関するパラメーター
~タイヤの表面の粗さや剥離に関連するパラメータ~
これらのパラメーターは、タイヤの耐久性や性能の変化をリアルにシミュレートするために使われます。GRAIN_GAMMAとGRAIN_GAINは摩耗によるグレインの影響を、BLISTER_GAMMAとBLISTER_GAINは過熱によるバルーンの影響を調整する役割を担っています。これにより、タイヤの劣化やダメージによる走行性能の変化をより現実的に再現できます。
●GRAIN_GAMMA=
役割: タイヤの摩耗によって発生するグレイン(表面の微細な傷や摩耗)への感受性を調整します。
タイヤの「グレイニング」(摩耗による表面のゴムの剥がれ)の進行速度や挙動を制御します。このパラメータはタイヤの摩耗特性に影響を与え、特にタイヤが高負荷や高温の状態でどのように劣化していくかを設定します。
[参考設定値]
一般車:0.8 ~ 1.1
サーキット走行:1.0 ~ 1.3
ML86号:1.1(ラジアルスポーツタイヤを反映)
●GRAIN_GAIN=
役割: タイヤのグレインによる影響の強さを決定します。
GRAIN_GAINは、タイヤの「グレイニング」(タイヤ表面のゴムが剥がれる現象)によってタイヤの性能がどれだけ変化するかを制御します。この値は、グレイニングが発生したときにどれほどタイヤのグリップ力やハンドリングに影響が出るかを示します。
[参考設定値]
一般車:0.3 ~ 0.5
サーキット走行:0.2 ~ 0.4
ML86号:0.4(グレイニングしてもタイヤのパフォーマンスが急激に悪化するわけではなく、ある程度のグリップやハンドリングを維持)
●BLISTER_GAMMA=
役割: タイヤのバルーン(膨らみ)への感受性を調整します。
このパラメーターは、タイヤが高温状態で起こる「ブリスター」(タイヤ表面が非常に高温になることでゴムが膨れ、タイヤ性能に影響が出る現象)に関する進行速度や影響度を調整するためのものです。この値が高ければ高いほど、タイヤが過熱によってブリスターを起こしやすくなります。
[参考設定値]
一般車:0.8 ~ 1.0
サーキット走行:1.0 ~ 1.3
ML86号:1.1(タイヤを酷使した際、ブリスターが発生しやすい)
●BLISTER_GAIN=
役割: タイヤのバルーンによる影響の強さを決定します。
このパラメータは、アセットコルサにおけるタイヤのブリスター(タイヤ表面が高温になってゴムが膨れ上がる現象)が発生したときに、その影響がどれほどタイヤの性能に及ぶかを調整するためのものです。この値が高いと、ブリスターによる性能低下が顕著になります。
[参考設定値]
一般車:0.2 ~ 0.4
サーキット走行:0.3 ~ 0.6
ML86号:0.3(ブリスターによるタイヤ性能の低下が軽め)
熱制御特性に関するパラメーター
~タイヤの冷却効果、タイヤ表面の転がりによる熱伝達特性の制御~
これらのパラメーターは、タイヤの冷却特性や表面の転がり抵抗に関連する設定です。
タイヤの性能と耐久性に影響を与える要素です。
●COOL_FACTOR=
役割: タイヤの冷却効果を調整します。
このパラメーターは、タイヤの冷却効果を調整するためのものです。
この値が高いほど、タイヤが過熱から冷却される速度が速くなります。
[参考設定値]
一般車:1.0 ~ 1.5
サーキット走行:1.4 ~ 2.0
ML86号:1.55(連続アタック後も性能を維持しやすい)
●SURFACE_ROLLING_K=
役割: タイヤの表面転がり抵抗を設定します。
このパラメータは、タイヤの表面における転がり抵抗を調整するためのものです。この値が高いほど、タイヤが地面と接触している面の転がり抵抗が大きくなります。
[参考設定値]
一般車:0.8 ~ 1.5
サーキット走行:1.0 ~ 1.8
ML86号:1.2(コーナリングでのグリップ感が増す)